キュレータープログラムvol.2

船越晴稀 個展:
トラヴェルス・アドヴェンチュア

会期2023年6月30日[金]〜7月9日[日]

開場時間:12:00〜18:00
*金、土、日は19:00まで

オープニングイベント6月30日[金] 17:00〜21:00
ワークショップ7月5日[水] 12:00〜21:00
トークイベント7月9日[日] 15:00〜17:00

山中suplexの別棟「MINE」では、キュレータープログラム vol.2として、船越晴稀個展「トラヴェルス・アドヴェンチュア」を開催いたします。本枠組みは、キュレーティングする機会を若手キュレーターに提供するという、次世代に向けた投資と支援を目的にしています。第二弾では、京都芸術⼤学⼤学院グローバル・ゼミでキュレーティングを学ぶイラン・ホウン氏に企画を依頼しました。「峯(MINE)」という漢字が山に関係する言葉であるということを踏まえ、本プロジェクト自体を「登山」と見立てたパフォーマティブな展覧会となります。ぜひ、ご高覧ください。


キュレーターテキスト

船越はこれまで、家から大阪の展示会場まで歩き、歩いた時に履いていた靴を展示する《穴があいている》(2019)や、工具のモンキーレンチを調理器具に見立てケーキをつくる《A multi purpose tool》(2022)、朝のランニングコースに展示場所を入れてもらう《Tireless, perpetually rotating object, November 2022.》(2022)など、コントールができない状況下で不完全な結果を生み出し、展示会場に別の役割を見出すような作品を制作してきました。それらの作品は、展示会場や作品が日常の延長線上に存在していることを強調しつつ、その日常は他者やほか生物との関わりの中で成り立っていることや、そこでは分かり合えない状態や不完全な状況、予想外の結果があることを意味しています。船越は、そうした日常生活の中でこぼれる不測の事態を作品として提案することで、アーティスト自身が社会の規則や慣例から逸脱していくことを目論んできました。

本展「トラヴェルス・アドヴェンチュア」では、山中suplexの別棟「MINE」の由来である「峯」という漢字が、「山の頂(いただき)」という意味を持つことから着想し、MINEの外側(日常生活の全て)を登山(作品制作/展示企画)であると見立てます。日常生活や搬入を実施する中での議論や、かつての住居空間での共同作業を通して、船越作品の本質が現れる試みとなるはずです。

また、本展におけるアクター/参加者は、アーティスト自身、キュレーター、旧峯ビル、かつての峯ビルの住人、山中suplexとそのメンバー、船越の過去展示に関わる全ての生物及び構造物とみなしています。これら参加者/アクターを展示・作品の一部として捉えることで、キュレーターとは、個展とは、作品制作とは、関係とは、協働とは、言語とは、コミュニケーションとは、といった線引きについても再考します。「登山」におけるパーティ(複数人)での入山が推奨されるように、展覧会においても複数人での企画を行うことで、互いの能力を補完し合う新たな展覧会のかたちを生み出します。

イラン・ホウン(本展キュレーター)


船越晴稀 個展:トラヴェルス・アドヴェンチュア

会期: 2023年6月30日[土]〜7月9日[日]

時間:12:00〜18:00 *金、土、日は19:00まで

会場:山中suplexの別棟「MINE」 2〜5F

入場料:無料

関連企画(参加費無料、事前予約不要) ※イベント詳細は下部に記載。

プロフィール

撮影:山本みなみ

船越晴稀
Funakoshi Harue

1999年静岡県生まれ。京都芸術大学大学院グローバル・ゼミ在籍中。 猫、哲学者、ランニングマン、モンキーレンチなど、日常生活での他者や他種との関わりで生まれる不備のある関係を視覚化させることで制作を行なっている。 これまでに参加した展覧会に、「再来さんや小さな芸術祭2022」(東京、2022年)、「A Question to Your Answer・応答への疑問」(京都, 2022)、「第5回かがわ・山なみ芸術祭2022」(香川、2022)などがある。

《Encounter(s)》2022年     撮影:山神美琴

《Let’s make sakura manju with cat.》2022年

《Tireless, perpetually rotating object》2022年 撮影:大澤一太

《A multi purpose tool》2022年 撮影:Guo Yugao

イラン・ホウン (本展キュレーター)
Ellan Huang

1994年中国・深圳市生まれ、ニュージーランド育ち、京都在住。京都芸術大学大学院グローバル・ゼミ在籍中。伝統的な山水画や現代の風景画を取り上げながら、東アジアの関係を研究している。現代アートやキュレーションの知識共有プロセスとアイデンティティーの政治性に関心を持つ。2022年12月に周逸喬とタリア・ファルコン・ニザラネによる二人展「The Road Not Taken·岐路」(山中suplexの別棟「MINE」、2022年)を郭禹鋯と共同企画。

アーティスト: 船越晴稀

キュレーター:イラン・ホウン

アシスタント・キュレーター: 黄宇曦


グラフィックデザイン:貞雄大/****

映像編集:坂東拓海/****

映像撮影:森一樹

什器設計:蛭田康介/****

展示記録:山神美琴


主催:山中suplex/Yamanaka Suplex

共催:NANEI ART PROJECT

協力:京都芸術大学大学院グローバル・ゼミ

助成:大阪市芸術文化振興事業助成金、公益財団法人小笠原敏晶記念財団、京都芸術大学大学院研究・制作・発表助成


Related Events

①オープニング「登山パーティー」(DJ & 軽食)

日時:2023年6月30日[金] 17:00〜21:00

会場:山中suplexの別棟「MINE」

入場無料


② ワークショップ  「Let’s make ケーキ with monkey wrench!」

日時:2023年7月5日[水] 12:00〜21:00

会場:山中suplexの別棟「MINE」

出演:船越晴稀、イラン・ホウン、黄宇曦 

               *予約不要(当日参加可能・入退場自由)

配信:あり(山中suplexのInstagramアカウントより)


③トークイベント「展覧会が立ち上がるまでのトラヴェルスな試みについて」

日時:2023年7月9日[日] 17:00〜19:00

会場:山中suplexの別棟「MINE」

出演:船越晴稀、イラン・ホウン、黄宇曦

言語:日本語、中国語、英語

配信:なし


お問い合わせ:  yamanaka.suplex@gmail.com 

「キュレータープログラム」とは

「キュレータープログラム」は、主にアーティストや文化従事者とともに、物理的空間や相互意思伝達の中に身を置きつつ、すでに協働している、あるいは今後、そのように活動していきたい若手キュレーターに向け、キュレーティングする機会や時間を提供するプログラムです。かつては大家さんが4・5階に住みながら、3階では借家として様々な人が暮らしてた旧峯ビルの文脈やリソースを踏まえ、サイトスペシフィックな条件下でのキュレトリアル・プラクティスを実践する場となります。